引用元
アカイトリノムスメ 国枝調教師
(前走の秋華賞1着を振り返って)
「オークス以来でそんなには変わっていなかったので、やれるなというのはありましたが、半分不安もありました。上手く勝ってくれてホッとしました。そこまで来ていたので、GIのタイトルが獲れて良かったと思います」
(前走後の調整について)
「帰ってきて特に問題もなかったのですが、1週間ぐらいは軽めの調整で、馬体の回復を待って、今日まで持ってきました」
(調教過程を振り返って)
「(1週前は)気分良く走って、楽に走れていました。それで何らダメージもなかったので、順調だなと思いました。(最終追い切りは)また関西に行くので、少し余裕を残す感じでやりました。順調に調教できたのではないかと思います。落ち着いていますし、飼い葉も食べているので、良いのではないでしょうか。身体に張りが出てきたような感じもしますので、良い方向に向かっていると思います」
(今回のレースに向けて)
「上手く立ち回れる馬ですし、戸崎騎手もこの馬を分かっていますので、何ら不安はないです。今までと少し違う相手になるのですが、一線級であればどっこいの競馬ができると思います。この世代も他のカテゴリーで頑張っているので、そういうふうに行きたいです。そつなく運んでほしいなとは思うので、ある程度の位置を取って、相手を見ながら終いの脚を生かしたいなと思います。前回は良い競馬ができて調子も良いです。アパパネで届かなかったGIを獲りたいと思います。よろしくお願いします」
アカイトリノムスメ 戸崎騎手
(前走の秋華賞1着を振り返って)
「GIということでとても嬉しい気持ちでした。レースの方は、元々どんな競馬でも対応できる、競馬が上手なところはありましたので、それほど変わったところはありませんでした。レースで走らせてみると、力強さというのはありましたし、成長したなというのは感じました」
(最終追い切りに跨った感触は?)
「とても良い状態で順調に来ているなというのは感じました。(国枝調教師とは)調子が良いんじゃないかということで、国枝調教師もエリザベス女王杯を勝つと牝馬のGIを全部勝つことになるみたいで、そんな話をしました。
そんなに間隔はないのですが、何となく一番馬が変わってきたのかなという印象は受けました。というのも、幅が出たような感じも受けて、飼い葉もしっかり食べているということで、その辺が変わってきた理由なのかなと感じました。上積みがある感じもしましたし、楽しみですね。競馬が上手なので、勝つように組み立てていきたいなと思います。GIですからそんなに甘くないですし、初の古馬との戦いでどういったレースをしてくれるか楽しみでしかないです。ある程度良いポジションではレースを組み立てていきたいなと思います。前走は本当に馬も頑張ってくれて、GIを勝つことができました。順調に来ています。今回は古馬との対戦になりますが、引けを取らない馬だと思います。応援よろしくお願いします」
レイパパレ
レイパパレが10日、復権へ向けて、好仕上がりをアピールした。初コンビのルメールを背に、栗東坂路の併せ馬で半馬身先着。スムーズな折り合いが、心身の充実ぶりを物語っていた。無傷6連勝で大阪杯を制したが、その後は連敗中。今度こそ輝きを取り戻す。
レイパパレは初コンビのルメールを背に、栗東坂路で最終リハ。先行するライトウォーリア(4歳オープン)も攻め駆けする馬だが、ラスト1F地点でとらえると力強いフォームで抜け出して、きっちり半馬身差をつけた。4F52秒9-38秒4-12秒5。鞍上は「乗りやすかったし、よく伸びてくれました。最後まで一生懸命走ってくれましたし、リラックスしていましたね。いい動きでしたよ」と満足げに振り返る。
レースで騎乗するのは今回が初めてだが、除外になった秋華賞前に、一度追い切りに騎乗したことがあり、「絶対に重賞レベルの馬だと思いました。あの時より体が大きくなったし、メンタルも大人になりましたね」と素質を評価するとともに、古馬になっての成長も口にした。
理想的な時計に加えて折り合いがつき、力む面を見せなかったのが、陣営の表情を明るくさせた。高野師は「御しづらい感じは見て取れませんでしたし、いいコンタクトが取れていたと思います」と意図した通りのアクションに目を細める。今回と同じ距離の宝塚記念、オールカマーで3、4着も「連敗していますが、2200メートルをこなす心臓と肺を持っていると思う」と自信を持って“三度目の正直”に挑む。
ルメールにとっては、テン乗りだった昨年のラッキーライラックに続き、連覇が懸かる一戦となるが「自分のことは関係ありません。馬が違いますし、レースごとに結果を出せるように頑張るだけ。レイパパレはG1を勝っていますが、また勝つことができると思います」と胸を張る。無傷6連勝で大阪杯を制した仁川で、復活を遂げる。
レイパパレ ルメール騎手
11月14日(日)に阪神競馬場で行われるエリザベス女王杯(GI)に出走予定のレイパパレ(牝4、栗東・高野友和厩舎)について、共同会見のC.ルメール騎手のコメントは以下の通り。
「(騎乗依頼を受けて)すごくうれしかったです。レイパパレは1勝クラスから能力を見せてくれました。連勝でGIを勝ちました。やっぱりハイポテンシャルの馬ですから、GIでその馬に乗れることはうれしいです。(今日は)ほとんど普通の追い切りでしたね。リードホースの後ろから併せに行きました。最後の1ハロンはしっかりやりました。それが先生の指示でした。今日は乗りやすかったし、良く伸びてくれましたし、重い馬場で反応がちょっと遅かったけど、最後まで一生懸命走ってくれました。もっと速い反応ができるかと思いましたが、(馬が)大人になって自分でフルパワーを使いませんでした。馬場も深い状態ですから、時計はまあまあですけど、馬の状態はすごく良かったです。
レイパパレはずっと速いペースを維持することができます。途中でも一生懸命走っています。途中でリラックス出来たら、最後もゴールまで頑張ってくれます。ストロングポイントは彼女のリズムですね。(去年調教で乗った時と比べ)変化はありましたね。身体が大きくなったし、メンタルも大人になりましたし、去年追い切りで乗った時は能力を感じることが出来ました。重賞レベルの馬だと思いました。秋華賞は使いませんでしたが、別のレースを勝って、重賞を勝ち、今年はGIを優勝しました。
(このコースは)ちょっとトリッキーですね。いつも内回りはトリッキーですね。レイパパレはそのコースが合うと思います。スタートからスピードを出してくれます。良いペースを維持することが出来ます。距離はちょっと心配しています。2200メートルはちょっと長いと思います。2000メートルまでは良さそうですが、2000メートルを超えるときつくなりますね。一番大事なのはスタートからリラックス出来れば、もしかしたら別の馬の後ろが取れればリラックス出来て、最後は良い脚を使えると思います。
ファンの皆さん、おはようございます。今週はエリザベス女王杯です。僕はレイパパレで頑張りたいです。レイパパレはGIを勝ちましたが、ルメールジョッキーでまた勝つことができると思います。皆さん、応援してください。ありがとうございます」
レイパパレ 高野調教師
「(オールカマーは)着順は4着で、人気にも推していただきましたし、馬券を買っていただいた方、この馬に関わってくれた方には望んだ結果ではなくて申し訳なかったですが、馬は良く頑張って走っていたと思います。走る気にも満ちていましたし、直線に向いて残り1ハロンくらいまでは、歯を食いしばって頑張っている姿勢が見られましたし、4着でしたが、馬は頑張れているなというところで、前哨戦としては一定の評価が出来る、馬を労って良いかな、という内容だったと思います。一生懸命走ろうとする上で、力んで走っている分、エネルギーは浪費しながら走ってしまっているかな、という感じはしました。
ここまで連勝してきて、2200メートルで連敗していますから、距離への対応が課題だと認識しています。特にガラッと調教を変えることはしていませんが、デビューから一貫してやってきた”乗りやすい馬を作り、騎手にお渡しする”というベースを、よりさらに高めることに努めてきました。感じは良くなってきまして、調教ではどんな形でも乗り手の外に出ていくことはなくなってきました。
この馬は身体の維持がものすごく大変だったので、今までは目標とするレースに向けて、前哨戦は使わずにやってきましたが、大阪杯の後から内面が頑強になってきて、身体が減ることが無くなりました。腫物を触るような扱いをすることがなくなってきました。宝塚記念の後、目標をエリザベス女王杯に定める時に、牧場でも馬が強くなって大きくなっているので、前哨戦を叩いた方が本番で良いパフォーマンスが出来るだろう、ということで、オールカマーを使いました。馬が縮むことなくむしろパンプアップしているので、オールカマーの後も元気いっぱいで、筋肉がついて良いコンディションで来られています。
先週は馬を前に置いて、乗りやすさの確認、じんわり併せに行っての確認、併せる時間を長く取っての確認、残り1ハロンでプッシュしての反応を見ました。助手が乗ったのですが、乗り手の外に出ていくことはないな、と思いました。
今日は、身体はきっちり出来ているので、ルメールジョッキーには目いっぱいやらなくていいけど、ある程度やっても大丈夫です、とお伝えしました。先週と同じ形をとったのですが、相手も動くオープン馬でそれなりに負荷をかけるようにしました。ルメール騎手は『コンディションはすごく良いよ』と言ってくれました。ルメール騎手が御しづらい感じは見て取れませんでしたし、話していてもそう言っていたので、良いコンタクトが取れたと思います。精神面の成長、肉体面の成長はあります。身体が大きくなって、その分、若い時は身体が軽くて動けた分、調教ではスパンと反応できていました。今は筋肉がついて、瞬時の瞬発力というよりはパワフルな感じになっていると思います。
誰が乗っても乗りやすい馬を作ろう、という厩舎の共通目標でやってきて、当然レイパパレも当てはまります。追い切り後にルメール騎手と話した感じだと、乗りやすさについては手応えを掴んでいるみたいですから、任せられるな、という感じはします。
競走馬として必須条件である負けん気の強さはありますし、内面は小さいボディですが良い心臓も秘めていますので、2200メートルでは連敗していますが、内面は2200メートルをこなす心臓と肺を持っているのではないかな、と思っています。(馬場は)良馬場で良いと思います。競馬はきれいな馬場、きれいな天気の中でやって、結果を出したいと思っています。
2連敗させてしまいましたが、ここに来てひとつひとつ(良い)成績をつけてあげて、今後どこに目標を持っていくかですが、より高みに持っていけるような結果になれば、と思っております」
ウインマリリン
ウインマリリンは10日、美浦Wで単走。前半はゆったりとラップを刻み、ラスト1Fで鞍上の手が動くとしっかりと反応を示した。5F69秒0-38秒6-11秒5。秋初戦のオールカマーを制するも、この中間に持病の右の肘腫が悪化し、熱発するアクシデント。その影響で1週前追い切りの動きは重苦しかったが、このひと追いで不安は解消されつつある。
手塚師は「動きを見る限り、(熱発の影響は)気にせずレースに向かえる」とジャッジ。「オールカマー後1週間は楽をさせましたが、調整自体はうまくいったと思います」と仕上がり具合に合格点をつけた。
菊花賞、天皇賞・秋に続くG1実施機会3連勝が懸かる横山武は「(騎乗した1週前の感触が)かなり悪かったので」と控えめだったが、「根性がある子。馬自身が競馬までに体調を戻して頑張ってくれることを願って」と精神面の強さに期待する。
フローラSを制しオークス2着など、3歳時から世代上位の力を見せて、昨年の同レースは4着。4歳になった今年は日経賞、オールカマーと牡馬相手の重賞を制し、着実にパワーアップを遂げている。このメンバーでも地力は上位の存在。悲願のG1獲りへ、どこまで復調できるかが鍵となる。
ウインマリリン 横山武史騎手
(前走のオールカマー1着を振り返って)
「枠がすごく良かったです。直線の捌きは私自身が下手だったのですが、馬の力で勝つことができました。フローラステークスを勝った時もすごく良い内容で勝てましたし、まだまだ重賞を獲れると思っていました。今は順調に成長してくれて、それが何よりです」
(1週前追い切りに跨った印象は?)
「きっぱり言ってしまいますが、状態がかなり悪かったので、良い感じではなかったです。元々右肘に腫れがあって、それ自体はいつものことだったのですが、今回は熱発してしまったということで、それ自体は治まっています。ただ、シンプルに状態だけがまだ追いついていない状況なのかなと思います」
(今回のレースに向けて)
「去年は4着でしたが、内容自体は悪くなかったです。また1年経って成長したマリリンを見せられたらいいのかなと思います。GIを勝っている馬も出てきますし、強いと思います。しかし、マリリンだってただ1年経ったわけではないです。状態は何とも言えないところはありますが、根性のある女の子ですから、頑張ってくれるのではないかと思います。枠次第にはなりますが、ある程度のポジションはほしいかなと思っています。(自身のGI3連勝がかかる一戦については)変にそういうのは意識を持たないで、マリリンと良い結果を残すことだけを考えて競馬ができたらなと思います。
今回、胸を張って堂々と行けるという状態ではないのですが、根性のある馬です。馬自身が競馬までに体調を戻して、レースで良い結果を出してくれることを願いつつ、一緒に頑張りたいと思います」
ウインマリリン 手塚調教師
(前走のオールカマー1着を振り返って)
「春の天皇賞の後、夏休みが終わって、オールカマーというのは当初の予定通りで秋はそこからスタートしようということでした。牧場での乗り込みも十分で、厩舎に戻ってからも順調に調教ができました。しっかりした形で競馬に向かえて、最高の結果を残せたと思っています。3歳の時に比べて体重も増えてきています。馬の精神状態と言いますか、少しイライラするところがあった馬なのですが、一戦ごとにそういったところもなくなって、精神的な強さというのがだんだんとついてきたのではないかと思います」
(前走後の調整について)
「オールカマーを勝たせてもらった次の週、持病である右の肘ですね、肘腫と言うのですが、そこが少し悪化してしまいまして、1週間ほど楽をさせました。その後は乗り込んで肘のケアと並行しながらエリザベス女王杯を目標に調整してきました。調整自体は上手くいっているのではないかと思っています」
(調教過程を振り返って)
「1週前はマイネルファンロンを追いかけました。相手も調教駆けするのですが、後ろから追いかけて1馬身ぐらい遅れたままゴール板を過ぎました。上がってきた横山武史騎手も、絶好調の動きからすると少し物足りないかなという話はしていました。使った後、追い切りをやった後の良化があれば十分良いのではないかという話はしてくれましたので、私もそういう判断でいました。今日の最終追い切りもそういう形で臨めればと思っていましたし、良い形だったと思います。今日の動きを見れば、(肘腫は)全く気にせずレースに向かえるのではないかと思っています。若干見た目は悪いですが……」
(今回のレースに向けて)
「昨年は状態が良いとはっきり言えないような中で4着に来られました。阪神の2200mという馬場適性はあるのではないかと思っています。昨年はラッキーライラックという強い馬がいました。3歳ということもありましたし、その前の秋華賞も惨敗ということで、気楽な立場でチャレンジしました。今年はマリリンも主役の一頭であることは間違いないと思いますので、それに恥じないような競馬をしてくれたら良いなと思っています。
スタートがとても良い馬なので、いつも好位に取り付ける脚はあると思うので、競馬はしやすいと思います。いつも横山武史騎手が乗っている時にはそういった内容のレースが多いと思いますので、今回もそういうふうになれば良いなと思っています。
エリザベス女王杯は本当にチャンスがあると思って使わせていただきます。オールカマーの内容からも十分GIを獲れるだけの実力はもう付いてきているのかなと思っています。彼女に大きな勲章を獲らせてあげたいと思っていますので、ここはしっかり横山君に乗ってもらって、良い結果が出るように頑張りたいと思います。応援よろしくお願いします」
ウインキートス 丹内騎手
(前走のオールカマー2着を振り返って)
「ウインマリリンの出方次第だと思っていましたが、向こうの方がスタートが良かったので、そういう時は後ろに付けようと思っていました。スムーズに4コーナーまで行って、折り合いも付いて、直線もスムーズに外に出すことができました。本当に無駄のない競馬ができたと思います。本当に手応え通り、良い反応でした。身体が大きくなってきて、追い出してからの伸びが、ああ成長しているなと思います」
(最終追い切りを振り返って)
「先週、結構負荷をかけているので、今週は息を整える程度の感じでした。道中は折り合いも付いて、直線も反応が良かったので、良い状態だと思います。(宗像調教師には)少し馬場入りでごねましたが、他は問題ないですと言いました。それぐらいです。先週もごねていました。今週はそれよりもごねたのですが、焦れ込んでいるとかではないので、そういうのは問題ないと思います」
(今回のレースに向けて)
「ある程度先行して、この馬の競馬ができれば良いなと思っています。強いメンバーですが、キートスも成長していますし、チャンスはあると思うので、1着を目指して頑張りたいと思います。ペースが速くても遅くても折り合いが付きますし、どんな競馬でも対応できる馬です。あとはゲートを出て、流れを見て考えたいです。初めてのGIですがチャンスがあると思っています。1着だけを目指して頑張って乗りますので応援の方よろしくお願いします」
ウインキートス 宗像調教師
(前走のオールカマー2着を振り返って)
「好位につけられて良いレースだったと思います。少し惜しかったですが、頑張ってくれたと思います。血統的なことですかね。ステイヤー色が少し濃くなってきたかなという感じは受けています。経験を重ねてきて、多少落ち着きが出てきたということですかね。集中できるようになってきているのでしょうか。身体も大きくなってきました」
(前走後の調整について)
「在厩でとりあえず前走の疲れを取るということと、今回に向けて調整する感じで、順調には来ています」
(調教過程を振り返って)
「(1週前は)大外を回ってきてくれたのですが、結構負荷がかかったと思いました。1週前でしたのでグッとやりました。(最終追い切りは)輸送も控えていますので、今日は単走でサラッとというか、整えた感じですね。最近少しその辺(馬場入りを渋る)が見受けられるので、気難しい面も多少あります。レースには大きな影響はないと思います。馬なりではありましたが、リズミカルな動きは見せていたと思います」
(今回のレースに向けて)
「(阪神は)初めてなのですが、上手く流れに乗ってくれればなと思っています。(輸送の心配は)特にないですね。少し寂しがり屋なものですから、他の馬が一緒にいた方が良いですね。その辺だけです。相手は強いのですが、頑張るしかないと思っています。レースが上手くなってきたというか、上がりは結構良い脚を使ってくれます。割と前目につけられるのではないかと思います。そして流れに乗って競馬ができればなと思います。ここを目標に頑張ってきました。準備もできたと思いますので、応援よろしくお願いいたします」
テルツェット
地下馬道をいかにスムーズにクリアするかは非常に大事なポイント。エリザベス女王杯(14日=阪神芝内2200メートル)に出走するテルツェットは、まさにこの部分が近2走の明暗を見事なまでに分けた。
「ヴィクトリアマイル(14着)はテンションが高めで、いい精神状態で走れなかった。対してクイーンS(1着)はイレ込み対策をしてきたし、地下馬道がなくてパドックから馬場が近いのも良かった」(和田正一郎調教師)
テルツェットにとっても「地下馬道」は大きなハードル。「阪神は地下馬道が長いので…。そこをどうこなすかですね」と決戦の舞台には“難敵”が立ちはだかる。ヴィクトリアマイルの二の舞いになる事態を避けるために、レース当日は馬場への先出し、コース入りギリギリでジョッキー(M.デムーロ)を騎乗させるなどの対策を取るようだ。
牝馬トップクラスの力はキャリアが示している。いかに興奮を抑え、平常心で臨めるか。そこさえクリアできれば…。
「ここ目標に順調に調整できている。初めての距離なので何とも言えない部分はあるけど、前回は折り合いもついていたし、あの感じなら大丈夫なのではないでしょうか」
祖母ラヴズオンリーミーはラヴズオンリーユーの母。つまり、先日のBCフィリー&メアターフを制した「世界最強馬」と叔母と姪の関係という旬の血統馬が、パドックから馬場入り、そして返し馬からゲート裏まで、地下馬道を無事にクリアして落ち着き払った姿を見せているようなら…間違いなく“買い”のサインなのである。
前走クイーンSを制したテルツェットが、G1獲りに向けて意気揚々だ。3カ月半ぶりだが調整は万全。末脚を存分に発揮できる態勢が整った。BCフィリー&メアターフを制し、世界にその名を知らしめた叔母ラヴズオンリーユーに負けじと、今週は大仕事をやってのける。
3カ月半ぶりながら気配は上々。虎視たんたんとG1初制覇を狙うのがテルツェットだ。和田郎師は快勝したクイーンSを振り返り、「後方からの競馬でしたが、千八を勝ったことが大きい。気性が成長して折り合いがつくようになりました」と上昇ぶりを口にする。
放牧中は福島県ノーザンファーム天栄で入念に乗り込まれてきた。美浦帰厩へ戻ってからも調整は順調。「この中間は1回どこかレースを使うか考えましたが、しっかり立ち直してからということで直行に。長距離輸送は大丈夫ですし、阪神コースも問題はありません。あとはテンションを上げ過ぎないように気をつけたい」と指揮官は意気込んだ。
偉大な叔母に続きたい。6日に米デルマー競馬場で行われたBCフィリー&メアターフをラヴスオンリーユーがV。日本調教馬が初めてブリーダーズCを制すという、歴史的な快挙を成し遂げた。「世界的な血統になりましたね。一つ大きなところを勝って無事に牧場に帰してあげないといけない」と師は力を込めた。血の勢いに乗り、自慢の末脚で女王の座を奪取する。
ランブリングアレー
照準を合わせてきた秋2走目。オールカマー7着をステップに上昇カーブを描くランブリングアレーが10日、スナップの利いたフットワークに体調の良さをにじませ、臨戦態勢を整えた。1週前に栗東CWで6F80秒7-36秒5-12秒3を計時したことを受け、最終追い切りは上がり重点に同コースで半マイルから。柔軟に体を使い、余裕たっぷりに駆け抜けた。
4F51秒7-37秒1-12秒8。「いつものパターンで単走ですが、いい動きをしてくれていました。テンションも高くなっていません。春はもう少しのところでG1を取れませんでしたが、今回は得意の距離なので」と友道師。2着だったヴィクトリアMより、2200メートルとなる今回の方が距離的な適性を感じる、と指揮官は話す。充実の時。待ちに待った舞台で大輪の花を咲かす。
ランブリングアレー 友道調教師
「(オールカマーは)あまり得意ではない中山、小回りのコーナー4つで、位置取りがちょっと後ろだったかなというのと、進路が塞がってリズム良くは行けなかったと思いますが、最後は差してきたので力のあるところは見せてくれたと思います。
前走後はグリーンウッドに放牧へ出して、1か月くらい前に帰ってきました。中間も順調に来ていると思います。元々、表面に出す馬ではないのですが、テンションも高くなっていませんし、調教も良い動きをしていると思います。(今日は)この馬のいつものパターンなのですが、併せると行きたがるところを見せるので、単走で終いの動きも良かったと思います。
今回も3歳馬や強いメンバーが揃っていると思います。距離に関していえば、春の1600メートルよりもこの馬には合っていると思います。
春はもう少しのところでGIを獲れませんでしたが、秋の方が得意とする距離だと思いますので、応援よろしくお願いします」
ステラリア
強い3歳世代の1頭ステラリア(牝3、斉藤崇)が条件好転で念願のG1初制覇だ。「前走(秋華賞6着)はいい競馬をしていましたし、阪神コースはいいですね。距離が延びるのも問題ないです」と斉藤崇師。 2200メートルに不安はなく、前走を使って「順調にきています。状態はいいです」と体調も良好。古馬とは初対戦になるが、上位争いになりそうだ。
デゼル 友道調教師
「(府中牝馬Sは)夏休みは北海道へ帰り、休み明けということで何とかレースに間に合ったかな、という感じでした。1週前、当週と動きは良かったのですが、結果的にもう1本、2本動きが足らなかったかな、という感じです。
前走後も在厩で調整しています。使った上積みもありますし、1度使ったことで体調もアップしていると思います。(今日は)全体の時計はゆっくりでしたが、終い1ハロンだけ併せ馬でしっかり追ってほしい、ということで乗ってもらいました。動きは良かったと思います。今日の調教後もそうですが、息の入りが良くなっているので、心肺機能も1度使った効果があると思います。予想通り、1度使って良くなっているので、中3週ですが調教もできて、飼葉も食べていますので、良い感じでGIを迎えられると思います。
(武豊騎手は)新馬の時から乗ってもらっているジョッキーで、この馬のことを分かっていると思いますので、この馬の最後の末脚を見せてもらいたいと思います。
折り合いがついて、距離は問題ないと思います。瞬発力もあって、パワーもあるので、最後に坂のある阪神コースは合っていると思います。
秋の目標をエリザベス女王杯に設定して夏場からやってきて、前走を使って良くなっています。お母さんは世界的な名馬なので、その子どもでGIを獲りたいと思って、なかなかチャンスがないのですけれども、良いチャンスが巡ってきたと思います。応援よろしくお願いします」
クラヴェル 安田調教師
「(新潟記念は)ゴールまでしっかり脚も使ってくれましたし、折り合いの方も一走一走、馬の理解をすごく感じ取れるレース内容でしたね。一走一走、意味のある競馬をしてくれて、彼女の経験値も上がっているのは感じます。
(これまでは)能力は感じていたのですが、気の強い面などがあり、競馬に対してマイナスなイメージを持たせると、成績が伴わない危険性も秘めているのは感じていました。(夏にハンデ戦を連戦して)結果的にハンデ戦という番組があり、レースを嫌なものじゃないと教えることで、軽い斤量でレースが出来たのは、彼女が一走一走経験値を上げるためにはすごく良い条件でした。
夏はコンディションも良く、今までにないくらいコンスタントにレースが出来ました。しっかり走った分、その勢いでどんどん使うと、見えない疲れもレースで出てきてしまうのかなと思いました。前走の新潟外回りで3ハロンしっかり脚を使う競馬も、今まではなかったので、その分のケアという時間はしっかり設けたいと思って、この間隔になりました。
先週は今まで同様、坂路である程度全体時計を出して、前進気勢を向上させて負荷をかける追い切りでした。厩舎として、1週前の水曜日は15秒に近い追い切りで、金曜日に強い負荷をかけるメニューにしています。当該週は気持ちの面と、必要があれば身体の面を調整するということで、実質(1週前の)金曜日が最後の一番強い負荷というプランでメニューを組んでいます。馬にも一番強い負荷をかけて、走りや終わった後の反応を見た上で、当該週の追い切りの内容を決めよう、ということです。
夏と比べて気温が下がってきての馬の変化があるのかな、と思ったのですが、こちらが心配していたより、負荷をかけてもピリピリしたりご飯を食べなくなるような女の子らしさが見られなかったので、夏の良い名残はあります。本来、当該週は軽めだったのですが、時計はそこまで攻めなくても、もう一段階、併せる形で気持ちを乗せても大丈夫じゃないかというジャッジでした。
(今日は)5ハロン70秒前後、残り1ハロンで併せるまではリズム重視で、どこまで気負うかという確認と、合図を出しての反応でしっかり受け入れてくれるかという確認と、併せることで気持ちを高められたらな、という思いでの追い切りでした。(中間は)いつも通りのクラヴェルの雰囲気でいかに競馬へ行けるか、ということだけを考えて過ごしてきました。
クラヴェルに関してはどういう舞台かというよりも、今まで学習してきたことを発揮できる精神状態か、レースに挑めるかというのが大事だと考えています。パドックについては元々どちらかというとエキサイトする方ではありますので、仕草の変化は判断しにくいところはあると思います。
今回はエリザベス女王杯ということで、今まで学習してきたことをしっかり発揮できるよう、レースまで時間がありますので、気持ちと身体の調整をしっかり行った上でレースに送り出したいと思いますし、彼女の競走馬生活にも貴重なレースになると思いますので、意味のあるレースにしてもらいたいと思います」
コトブキテティス
コトブキテティスをエリザベス女王杯に送り出す田島俊明調教師(47)=美浦=にとって、11年オークス(バウンシーチューン=17着)以来、10年ぶり2度目の平地G1挑戦となる。
先週のアルゼンチン共和国杯を自重。指揮官は「(前走を)勝って勢いがある時に。それにジョッキー(柴田善)も二四がギリギリだと言っていたので」と、こちらへ矛先を向けた理由を明かした。
初勝利までに9戦を要したが、その勝利の直後にG1トライアルへ挑戦。「紫苑Sから秋華賞を目指したが、うまくいかなかった」。10着と結果は伴わなかったものの、早い段階から素質の高さを買っていた。それだけに、その後は無理することなく、コツコツと実戦を重ねつつ開花の時を待った。それが実となったのが前走の六社S。後方から見事な差し切りで待望のオープン入りを果たし、大舞台へのチャンスをつかんだ。
コンビを組む柴田善が「まずはG1に出られる立場になったことを褒めてあげたい。競馬は何があるか分からないし、競馬の上手なところを生かしてあげたい」と話せば、トレーナーも「いい流れ。相手は強いけど、やれることは同じ。ロスのないようにいつもの競馬をするだけ」と自然体で臨む大一番。ただ、その表情は楽しみに満ちている。
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